世界ランキング上位20人のパターを全部調べた

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世界ランキング上位20人が、いま実際にどのパターを使っているのか。 そして、その人たちのパッティングは数字でどのくらい上手いのか。 推測を混ぜず、公表されているデータだけで並べてみました。

データの時点: 世界ランキングは OWGR 2026年第39週(9月27日)、 スタッツは PGA Tour 公式 の2026年シーズン、 パターの機種は各選手の WITB(What's In The Bag)報道にもとづきます。

はじめにお断りしておきます。 この記事が扱うのは世界ランキング上位20人だけのデータです。 20人というのは統計として結論を出せる人数ではありません。 とくにブランドごとの比較は、1ブランドあたり数人という規模になります。

ですので、特定のパターが「入りやすい」と言うつもりはありません。 上位20人という限られた集団で、いま何がどう使われているか。 その事実を並べた記事として読んでください。

パター使用数ランキング

ブランド単位で数えると、こうなりました。

順位 ブランド 人数 使用している選手(世界ランク順)
1 TaylorMade 7 シェフラー(1)、マキロイ(2)、ゴッタラップ(7)、フリートウッド(9)、モリカワ(11)、ライ(16)、ブリッジマン(20)
2 Odyssey 5 バーンズ(8)、シャウフェレ(10)、キム・シウ(14)、ラーム(15)、オーバーグ(18)
3 Scotty Cameron 4 ヤング(3)、ヘンリー(6)、ローズ(17)、マッキンタイア(19)
4 Ping 2 クラーク(5)、ホブラン(13)
5 Bettinardi 1 フィッツパトリック(4)
5 L.A.B. Golf 1 スポーン(12)

上位20人のうち7人、3人に1人以上が TaylorMade の Spider 系を使っています。 さらに絞ると、Spider Tour X の4人(シェフラー、マキロイ、ゴッタラップ、モリカワ)が 単一機種としては最多です。

20人中16人がマレット型という点も目を引きます。 ブレード型はフィッツパトリックの Bettinardi とオーバーグの Odyssey Ai-One #1 くらいで、 トップ選手のパター選びは、慣性モーメントの大きい方向へはっきり寄っています。

選手別の使用機種

ランク 選手 パター
1 スコッティ・シェフラー TaylorMade Spider Tour X
2 ローリー・マキロイ TaylorMade Spider Tour X
3 キャメロン・ヤング Scotty Cameron Phantom 9.5R ツアープロト
4 マット・フィッツパトリック Bettinardi DASS BB1 Flow
5 ウィンダム・クラーク Ping Scottsdale TEC Ally Blue Onset
6 ラッセル・ヘンリー Scotty Cameron Phantom T5 ツアープロト
7 クリス・ゴッタラップ TaylorMade Spider Tour X
8 サム・バーンズ Odyssey Ai-One #7 S
9 トミー・フリートウッド TaylorMade Spider Tour
10 ザンダー・シャウフェレ Odyssey Toulon ラスベガス プロト
11 コリン・モリカワ TaylorMade Spider Tour X
12 J.J.スポーン L.A.B. Golf OZ.1i HS
13 ビクトル・ホブラン Ping PLD DS72 プロト
14 キム・シウ Odyssey(O-Works / プロト)
15 ジョン・ラーム Odyssey White Hot OG ロッシー プロト
16 アーロン・ライ TaylorMade Spider Tour V
17 ジャスティン・ローズ Scotty Cameron Phantom T5 ツアープロト
18 ルドビッグ・オーバーグ Odyssey Ai-One #1
19 ロバート・マッキンタイア Scotty Cameron 9.5R カスタム
20 ジェイコブ・ブリッジマン TaylorMade Spider Tour

ツアープロはシーズン中にパターを替えます。実際、モリカワは2026年だけで何度も替えていますし、 オーバーグは Scotty Cameron をテスト中と報じられています。上の表は9月末時点のものとお考えください。

上位20人のパッティングは、数字でどのくらい上手いのか

ラームは LIV 所属で PGA Tour のスタッツがないため、残る19人で集計しました。

指標 上位19人の平均 意味
平均パット数 1.731 パーオンしたホールでのパット数
1パット率 40.76% 全ホールのうち1パットで終えた割合
3パット率 2.31% 全ホールのうち3パット以上を叩いた割合
SG: パッティング +0.211 1ラウンドあたり、平均的なツアー選手より得した打数

3パット率 2.31% は、約43ホールに1回という計算です。 18ホール換算では0.42回、つまり2.4ラウンドに1回しか3パットをしないことになります。 アマチュアの感覚とは桁が違います。

一方で1パット率は40%台で、思ったほど高くないと感じるかもしれません。 これは、彼らがパーオン率も高く、残りの距離が長いパットを多く打っているためです。 「乗るけれど遠い」状況が多ければ、1パット率は自然に下がります。

個人別

ランク 選手 平均パット数 1パット率 3パット率 SG: パッティング
5 クラーク 1.690 (1位) 44.73% (2位) 2.28% +0.384
20 ブリッジマン 1.693 (2位) 44.15% (6位) 1.30% (3位) +0.757 (1位)
1 シェフラー 1.694 (3位) 42.02% 1.64% (9位) +0.574 (6位)
14 キム・シウ 1.710 (5位) 41.67% 2.01% −0.174
11 モリカワ 1.711 (7位) 39.70% 1.88% +0.106
6 ヘンリー 1.715 (9位) 42.64% 2.03% +0.481
19 マッキンタイア 1.720 42.30% 2.22% +0.489
13 ホブラン 1.722 42.57% 2.45% +0.188
8 バーンズ 1.728 40.47% 1.80% +0.627 (4位)
18 オーバーグ 1.728 39.11% 2.25% +0.199
9 フリートウッド 1.734 40.17% 1.58% (7位) +0.065
7 ゴッタラップ 1.734 40.59% 2.34% +0.299
2 マキロイ 1.739 40.12% 2.67% +0.243
17 ローズ 1.752 38.45% 2.56% +0.019
4 フィッツパトリック 1.757 39.10% 2.78% +0.161
12 スポーン 1.759 38.29% 3.00% −0.349
3 ヤング 1.762 41.11% 2.99% −0.159
16 ライ 1.771 36.83% 3.41% −0.062
10 シャウフェレ 1.772 40.50% 2.78% +0.169

世界ランキングとパッティングの順位は、まったく一致しません。 世界3位のヤングと10位のシャウフェレは平均パット数で下から2番目・最下位ですし、 SG がマイナスの選手が4人もいます。ショットで勝っている選手がこれだけいるということです。

逆に、世界20位のブリッジマンが SG: パッティングでツアー全体の1位。 パッティングだけで世界ランクは決まりません。

最多使用機種の最上位 — シェフラーの打ち方

TaylorMade Spider 系を使う7人の最上位は、世界1位のスコッティ・シェフラーです。

シェフラーはもともと、ショットに比べてパットが弱点と言われ続けた選手でした。 転機はパッティングコーチのフィル・ケニヨンと組んだことで、 そこから平均パット数でツアートップクラスに浮上しています。

クローグリップ

最大の変化はグリップです。 右手(下の手)の手のひらを下に向け、親指と人差し指でつまむように握る「クロー」を導入しました。 特に15フィート(約4.6m)以内でこの握りを使い分けていると報じられています。

クローの狙いは、右手の「押す力」を物理的に使えなくすることです。 ショートパットでは、入れたい意識から右手が出てストロークが加速し、 フェースが返って引っかかる — これがミスの典型です。 下の手を押せない形にしてしまえば、この動きそのものが起きにくくなります。

左手の形

左手側にも特徴があります。人差し指を下に伸ばして握る、いわゆる「フィッツ・グリップ」で、 ケニヨン門下に使い手が多い形です。 左手首の筋肉を安定させ、パターと左腕が一体で動くようにする狙いがあります。

シェフラーの打ち方は、要するに手首を使わせない方向に徹底しているということです。 Spider Tour X という慣性モーメントの大きいマレットの選択も、同じ方向を向いています。

平均パット数が最も少ない機種の最上位 — クラークの打ち方

ブランド別に平均パット数を出すと、こうなりました。

ブランド 使用者の平均パット数 人数
Ping 1.706 2
TaylorMade 1.725 7
Odyssey 1.734 4
Scotty Cameron 1.737 4

Ping が最も少なく、その最上位は世界5位のウィンダム・クラークです。 (冒頭のとおり、Ping の使用者は2人です。この順位は人数の少なさに強く左右されます。)

ここでは「どのブランドが優れているか」ではなく、 その中で最もパット数が少ない選手が何をしているのかを見ていきます。

400グラムのヘッド

クラークのパターは Ping Scottsdale TEC Ally Blue Onset。 長さ38インチ、ロフト3度、そしてヘッド重量はおよそ400グラムと報じられています。 一般的なパターが340〜360グラムですから、かなり重い部類です。 さらにソールに鉛テープを貼り、長く太い SuperStroke のグリップとカウンターバランスを取っています。

重いヘッドは、手先で動かしづらくなるという効果を持ちます。 シェフラーがグリップで解こうとした「手で打ってしまう」問題に、 クラークは重量で答えを出している、と見ることができます。

オンセットという選択

もう一つの特徴が「オンセット」です。 シャフト軸がフェースより後ろ、かつ重心より前に来る配置になっています。 Ping はこれを「ストロークで押すのではなく、引いてくる動きになる」と説明しています。

クラークはこのパターを投入してから劇的に変わりました。 2026年5月の CJ カップ・バイロン・ネルソンでは、 1試合の SG: パッティングで +12.565 を記録しています。 ツアーでも前例のない水準で、ツアー屈指の不調なパッターから一気にトップへ転じました。

上位20人から読み取れること

機種の選択はバラバラでした。重いマレット、ブレード、ゼロトルク系と方向性も違います。 「これを使えば入る」という機種は、少なくともこの20人のデータからは見えません。

共通しているのは、むしろ手首を使わない方向に各自のやり方で寄せていることです。 シェフラーはグリップで、クラークは重量で、同じ問題に別の解を当てています。

そしてもう一つ、3パット率 2.31% という数字です。 入れる技術より、大きく外さない技術で差がついていることが読み取れます。 距離感が合っていれば3パットは減ります。

自分のパットがどのくらい曲がり、どのくらいの強さで打てばいいのかは、 Putt Break Calculator で計算できます。 傾斜とグリーンの速さを入れれば、曲がり幅と必要な強さが数字で出ます。


出典: OWGR 世界ランキング(2026年第39週)、 PGA Tour 公式スタッツ(2026年シーズン)、 各選手の WITB 報道。パターの機種は選手が随時変更するため、最新の状況とは異なる場合があります。