気温・標高・風で、番手は何番ずれるのか
- 飛距離
- 弾道計算
- 風・標高
「今日は寒いから1番手大きめ」「高原だからよく飛ぶ」——どれも正しいのですが、 気温と標高と風が同時に効いているとき、足し算した結果が何番になるかは感覚では出せません。
飛距離レンジファインダーは、その日の条件から14番手ぶんのキャリーを まとめて計算し直します。使い方と、実際に計算して分かったことを整理します。
使い方は3ステップ
1. 基準キャリーを入れる(最初の1回だけ)
無風・平地・気温15°C・海面でのキャリーを番手ごとに入れます。ここが全ての土台です。
大事なのはランを含めないこと。「7番アイアンで150ヤード」がランまで含んだ数字なら、 キャリーはもっと短いはずです。ここを実際より大きく入れると、補正量もそのぶん大きく出ます。
持っていない番手は 0 にすると表から消えます。
入力値はブラウザに保存されるので、次回からは条件だけ変えれば済みます。
2. その日の空気を入れる
気温・標高・気圧・湿度の4つです。気圧は天気予報の数字(海面更正値)をそのまま入れてください。 分からなければ 1013 のままで構いません。効果は小さめです。
3. 風と高低差
風向は打球方向を基準に、風が吹いていく向きで指定します。 高低差は「+ が打ち上げ、− が打ち下ろし」です。
見るのは「実質」の列だけ
補正後のキャリーが何メートルかを覚える必要はありません。 **「実質どの番手か」**の列だけ見れば、そのまま持ち替えれば済みます。
7番アイアン(基準128m)を例にすると、こうなります。
| 条件 | 補正後 | 実質 |
|---|---|---|
| 冬の朝(5°C・アゲンスト3m/s) | 120m | 8I |
| 高原(標高2000m) | 137m | 6I |
| 打ち上げ10m | 115m | 8I |
計算して分かった3つのこと
気温より標高のほうがずっと効く
ドライバー200m・7I 128m・PW 96m を基準にした変化量です。
| 条件 | ドライバー | 7I | PW |
|---|---|---|---|
| 気温 5°C | −2m | −2m | −1m |
| 気温 35°C | +5m | +3m | +2m |
| 標高 1000m | +7m | +5m | +3m |
| 標高 2000m | +13m | +9m | +5m |
| アゲンスト 5m/s | −15m | −11m | −9m |
| フォロー 5m/s | +12m | +7m | +5m |
気温を10°C間違えるより、標高1000mを忘れるほうが倍以上ずれます。 そして風は、そのどちらよりも大きい。まず風、次に標高、最後に気温の順で気にすれば十分です。
高低差は、短い番手ほど割合で痛い
打ち上げ10mのときの変化です。
| 番手 | 変化 | 基準に対する割合 |
|---|---|---|
| ドライバー | −16m | −8% |
| 7I | −13m | −10% |
| PW | −14m | −15% |
メートル数だけ見るとドライバーが一番削られます(落下角が浅いぶん、 目標の高さに届くまでに水平距離を多く失うためです)。 ところが番手選択は割合で効くので、体感としてはウェッジのほうが大きくずれます。 打ち上げのショートアイアン・ウェッジで手前に外しやすいのは、これが理由です。
湿度はほとんど関係ない
湿度を50%から90%に上げても、どの番手も1m未満しか変わりません。 「今日は湿気が多いから飛ばない」という感覚はよく聞きますが、空気の密度で見ると逆で、 水蒸気は乾燥空気より軽いので、湿った日はわずかに飛ぶ側です。
湿度の欄は「気にしなくていい」ことを確認するためにある、と思ってください。
届かないものは「届かない」と出ます
打ち上げが大きいと、ウェッジは物理的に目標の高さまで上がりきりません。 その番手には**「届かない」**のバッジが付き、平均の計算からも外れます。 「ウェッジで届く前提」で組み立てていたホールが、実は届かないと分かることがあります。
弾道を見比べる
各行の「弾道を見る」を押すと、基準条件の弾道と当日の弾道を重ねて表示します。 同じ番手でも、標高で高く遠くまで伸びるのか、アゲンストで急に落ちるのかで、 グリーンでの止まり方はまったく違います。数字だけでは分からない部分です。
前提と限界
- 計算するのはキャリーだけです。ランは含みません。
- 風はコース全体で一様として扱います。高さによる風の変化は見ていません。
- 番手ごとの打ち出し角とスピン量は一般的な値を使っています。 弾道が極端に高い・低い方は、補正量の絶対値が多少変わります。
裏側では、入力した条件から空気密度を求め、抗力とマグヌス揚力を含む運動方程式を 数値積分しています。番手ごとに「基準条件で入力どおりのキャリーになる初速」を逆算し、 その初速のまま当日の空気で飛ばし直した差が補正量です。
まずは自分の基準キャリーを入れるところから試してみてください。